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学部1年の数学、特にε-δ論法に殺されないために【新歓ブログリレー2017 17日目】

hihumi
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こんにちは、東工大数学科3年のhihumiと言います。

今回はTwitter等で大学の微分積分でつまづいてしまう人を結構見るので、その原因の99.9999999999%と言っても過言ではないε-δ論法について書きたいと思います。新入生の皆さんにはぜひε-δ論法の「気持ち」を理解していただいて、今後の大学生活の役に立てば幸いと考えています。お付き合いのほど、よろしくお願いします。

 

さて、本題は下の方に貼ってあるPDFに書きましたのでそれを見てください。このPDFはTeXという文章作成ソフトを用いています。見てみればわかると思いますが、TeXは数式を綺麗に書くには最高すぎるので皆さんもぜひいじってみましょう!(硬い文章で書いてしまったのは許してください)

 

……しかし、さすがにこれだけでは味気なさすぎるので、ここでも「気持ち」について書きたいなと思います。

皆さんは高校では極限をどのように習ったでしょうか? おそらく「限りなく」や「無限」と言った言葉を用いて習ったかと思いますが、それは数学的には一体どのように記述されるのでしょうか? 高校までではそのようなことは深く考えず「正しい直感」を元に極限を考えていたわけですが、これでは直感ではわかりそうにないような事実や定理を示すのには無力です。なぜなら定義が曖昧で、それゆえに証明の道具というものがないからです。

そこで昔の人は考えに考えてε-δ論法に到達しました。これは「限りなく」や「無限」といったものを我々がよく知っている有限の世界の言葉のみで記述することに成功していて、このような定式化を経て我々は証明するための手段を得たわけです。習いたては「なんでこんな当たり前のことをめんどくさく考えなきゃいけないのか……」と思うかもしれませんが、当たり前を正当化するのは思ったよりも難しいことで、ここではその直感はε-δ論法を以って正当化されるのです。言ってしまえば、そういう手段が与えられてるだけマシってことですね。中々理解まで苦労するかもしれませんが、論理の要点はPDFにまとめたのでぜひご覧ください。

ε-δ論法

他の記事に比べて圧倒的に寂しいものになってしまいましたが、ここで終わりにしたいと思います。読んでくださりありがとうございました。明日はtsukatomoさんとdermasさんです。

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記事へのコメント

Акулы
2017年4月21日 00:14

大変興味深い記事です。
そういえば随分昔にshrさんがこの手の可視化をされていたと記憶していますが、そのGIFなどは紹介されないのでしょうか(非公開化されてしまったのでしょうか)。

また、理学部や理論系の志望者は納得がいきそうな理由付けがされていましたが、もう少し何の役に立つのかを教えて頂けますと、東工大でマジョリティを占めるであろう工学系・実験実装系志望の1年生も納得してくれるかもしれません。私の周りですと、5類(後に情報工学系かシステム制御系のはず)で「イプシロンデルタ論法なんて何の役にも立たないしスルー」と決め込んでいた人が学年が上がるにつれて後悔していく様を見たことがあるのですが、このような後悔をする人が少しでも少なくなると良いかなと思いコメントさせていただきました。(そこまで面倒見切れないというのは #それはそう ですが)

hihumi
2017年4月21日 01:11

コメントありがとうございます

>可視化の話
原因はわからないですが元が消えてしまったみたいで見れないようです。力になれずすみません

>何の役に立つか
正直工学系のことはわからないのですが、情報工学科の友人が今関数解析の勉強をしていると聞きました(用途は知りませんが)。
関数解析では例えばノルム空間を扱ったりしますが、もちろんそこでの連続は距離空間(そうできる)なのでε-δが登場しますし、集合の性質(コンパクト性など)が代数的な性質(極大イデアルなど)と結びついていたりします。後者はε-δと関係ありませんでしたが、純粋数学は決して数学のための数学だけではないのでこれを見た新入生はぜひそういうこともやってみて欲しいです

Акулы
2017年4月21日 01:21

お早いご回答いただきありがとうございます。

確かに私の前述しました知人も関数解析でうわーってなっていました。
情報工学系といいますか情報通信系の関数解析の担当教員的に、おそらく最先端の信号処理を扱うのに必要そうな雰囲気がありますね。
信号処理への応用を前提とした応用数学の定理などで証明の道具にイプデルを使うのかもしれません(それならlimの議論でできてしまうこともありそうですが……私も通信は専門じゃないです)。

>純粋数学は決して数学のための数学だけではない
純粋数学は数学のための数学のことでしょうが、これは応用数学でも高度な数学を扱うことがある(高度な数学、数学科でやるような数学は、数学科のためだけのものではない)という理解でよろしいでしょうか。揚げ足取りみたいですみません。
応用数学を列挙となると枚挙に暇がなさそうですが、代表的な「すごく数学科っぽいけど応用数学で使う」みたいなものとかあると面白いかもしれませんね。

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